異世界イソップ物語

第一話 北風と太陽

 とある学院の放課後、一年生の首席二人が話していた。

 今年は例外で首席が二人いる。二人とも筆記、実技共に満点を叩き出したからだ。

 一人が話しかける。

「なぁ、俺の剣は誰よりも鋭く重い。この世で一番力があるのはこの俺だ。そうは思はないか?サンよ。」

 剣士ウィンドが魔術師サンに話しかける。

 サンは正直うんざりしていた。ウィンドは真っ直ぐで良きライバルだが、いかんせん力自慢が多すぎる。

 なので今日ばかりはいい返させてもらう。

 「確かに君は筋力のステータスが異常なまでに高いよ。でも、この世で一番ってことはないんじゃないか?」

 サンはウィンドが挑発に弱いのを知っている。ライバルとして、友人として暮らした故のことだ。

 案の定ウィンドがいい返してくる。

1 / 3ページ

「ならよぉ、勝負しようぜ。今から俺がお前に殴りかかるから受け止めてみろよ。」

 サンは落ち着いて返す。

「それは確かにいい案だけど、僕が簡単に死んでしまうよ。それよりも実践形式にしないか?近くの森に魔獣が出たと聞いているよ。それに討伐依頼も出てるしね。」

 実際、この体全てが筋肉でできているウィンドに殴られれば簡単に死ねる。冗談抜きでこいつの筋力は化け物だ。

「いいぜ、それで行こう。俺が先にやるから倒しちまったらごめんな。」

そう言って勝負することが決まった。

 ちなみに日程は明後日の休校日だ。

 そしてその日がやってきた。

 目的の山につき、程なくして目的の奴と対峙する。

 敵はクマの魔獣だ。身長は3メートル近くあるだろうか。器用に二足歩行で立っている。

「そんじゃあ、行ってくるぜ。身体強化」

そう言い残しウィンドが行ってしまった。

2 / 3ページ

 サンは木陰から様子を伺う。ウィンドが戦っている間に敵の弱点を探るためだ。一応調べてはきたが信用はしていない。

 一方ウィンドはバフを三重に重ね、剣にお得意の風属性を纏わせ切りかかっている。

 常人の目には止まらぬ速さと、剣筋の鋭さ、それでいて流そうにも触れただけで骨が折れそうになる、というか折れてしまうような重い一撃を連続で放っている。

 一瞬で勝負が決まると思っていた。少なくともウィンドは。

 しかしこの熊は倒れない。ダメージがまるで通っていないのだ。

 それもそのはず、この熊、防御力が高いだけでなく見た目の割りに早いのだ。

 ステータスで言えば防御とスピードに振られていて、攻撃面はあまり高くない。しかしその巨体のおかげでカバーされている。

3 / 3ページ

「続き」を投稿して「佳作」以上を獲得すると閲覧できます。

最終話へ