私は船で生まれた。
両親は、小さな宇宙船で他の星を回って、地球で仕入れた細々とした物を売る星間行商人で、宇宙船が私の家だった。
幼い頃の私は、この生活が嫌ではなかった。
いろいろな星を巡って珍しい物を見るのが楽しかったし、どの星の子供ともすぐに仲良くなれた。
宇宙中に友達がいた。
おかしいと気付いたのは、久しぶりに地球の友達に会った時だ。
以前は二人とも同じくらいの背格好で、好きな物も同じで、一緒に駆け回る事ができた。
いまや彼女は女性で、私だけが少女のまま。
踵の高い靴を履いた彼女は、もう理由なく走ったりしない。
「どうして?」
私は両親に聞いた。
星間航行は光速に近い速度で移動する。そのため、地上よりも時間の進みが遅いのだと彼らは言った。
突き付けられた残酷な現実に私は泣いた。
「皆と一緒に大人にはなれないの?」
私が聞くと、両親は静かに微笑んだ。