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言葉の瓶
言葉の瓶
# 純文学
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早い者勝ち
「これは"言葉の瓶"というものだよ。この中に誰かに伝えたい言葉を入れて願ってみてごらん。誰かにきっと届くよ。」
母はそう言って私に瓶を渡す。片手に収まるほど小さな小瓶だ。
「こんなのに言葉なんて入れられるの。」
「私も昔はそう思っていたよ。でもね、違うの。言葉は"入れられるの"。伝えたいって強く願えば願うほど。」
「ふうん。」
私は嘘だと思いながら返事をする。家の窓から見える空の雲はゆっくりと動いている。
ぼんやり見つめているとなんだか不思議な気持ちになった。
いつもの場所のはず
いつもの場所のはず
# ホラー
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「いつもの場所だよね。」
悠太が驚いた声で言った。俺も同じ事を思った。一緒にいた友だち全員思ったと思う。いつも集まって放課後の時間を潰している場所、自然に集まっていつも騒いでいる場所。
「なんか怖くないか。」
「いつからこんなになんたんだよ。」
「まるで別の場所みたいだな。」
何も考えられずみんな黙ってしまう。俺を含めて、昨日までとは別の姿の場所に戸惑いを隠せてないのだろう。
後で俺も気づいたのだが、この変化が始まりにすぎないことをこの時点では誰も知らなかったのである。
ハルと僕
ハルと僕
# 恋愛
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「ねぇこれ見て。かわいいよね。」
笑顔で僕の前に小さな花をみせる。僕も笑い返しながら花を受け取る。どこにでもある小さな花だがいつもと違って見えた。
「ハルは卒業したらどうするの。」
「え、私?私は進学するつもり。ケンは?」
「僕は、」
突然聞かれた言葉に驚いて一瞬答えられなかった。いや、答えをすぐに用意できていなかった。僕たちは数ヶ月後にはそれぞれ道を選んで卒業していく。もう決めていなきゃいけない。
「僕も進学する…かな…。」
答えは一応見つかったが僕の中では何かが残る。
「まぁ、焦らなくてもいいじゃん。」
ハルは突然優しい口調で言う。そんな言い方しないで。ハルが僕を置いていくみたいじゃん。
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