「ここに二つの箱がある。片方は赤い箱、もう片方は青い箱。どちらか一つしか選べないとしたらどっちを選ぶ?」
彼が僕に問う。
真っ暗な何もない部屋で、下からライトアップされる鮮明な赤と青。
「赤い箱」
僕は答えた。
青い箱のライトが消え、箱は闇へと消えて無くなった。
残された赤い箱。
彼は蓋を取り去る。
「ジャーン!中身は汚れた万年筆でした!」
見覚えがある。たしかにこれは僕の万年筆だ。
…こんなに汚れてはいなかったけれど。
「人生は取捨選択の連続。君は赤い箱を選んで、そして青い箱を切り捨てた。その中身を見る機会は永遠に来ない」
僕は耐えきれなくなって彼に尋ねた。
「一体僕は何をやらされているんだ?」
「それが君の第一の質問でいいの?」
頷く。
彼の出す選択肢を僕が選んでゆくごとに、きっと一つずつ彼は質問に答えてくれる。
「これは君の"罪"を知るための時間だよ」